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2022

AJEQ研究会報告 Rapport de la réunion d’études de l’AJEQ (2022年6月)

CATEGORY報告
AJEQ研究会報告 Rapport de la réunion d’études de l’AJEQ (2022年6月)
AJEQ企画委員会・研究会担当 Comité scientifique

2022年6月25日(土)16:00~18:00、オンラインにてAJEQの定例研究会が開催されました。
以下、報告者たちによる報告要旨です。(矢頭典枝・神田外語大学)
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(1) 小松祐子会員KOMATSU Sachiko
「ケベックとフランコフォニーの関係-ジャン=マルク・レジェの言説に注目して」
(Les relations entre le Québec et la Francophonie - retracées par les discours de Jean-Marc Léger)

要旨:
本発表では、1970年に文化技術協力機構(ACCT)として発足した国際フランコフォニー組織の初代事務局長を務めたジャン=マルク・レジェ(1927-2011)の言説に注目し、ケベックとフランコフォニーの関係を明らかにすることを試みた。ケベックは、過去から現在に至るまで、国際的なフランコフォニーにおいて重要なリーダーシップを発揮してきた。またケベックがフランス語アイデンティティを守り、国際的発展を遂げるためには、フランコフォニーへの参加が不可欠であった。レジェは、1950年代からすでにフランコフォニー組織を構想し、その発言と行動を通じて組織の実現に貢献した人物であり、彼の一貫したフランコフォニー推進の信念は組織の在り方に大きく影響してきた。

komatsu

(2) 西川葉澄会員NISHIKAWA Hasumi
「ダニー・ラフェリエールと日本をめぐる一考察:『吾輩は日本作家である』を中心に」
(Dany Laferrière et le Japon : réflexions sur les images du Japon dans Je suis un écrivain japonais)

要旨:
本発表では、ダニー・ラフェリエールの創作活動の第3期を開始した作品と位置付けられる『吾輩は日本作家である』(2008)において、日本にまつわる要素がどのようなものかを明らかにし、メインの物語となる小説をめぐるメタフィクションに並行して綴られる松尾芭蕉『奥の細道』からの引用箇所選択の理由を分析した。2011年の来日以来、日本とは縁の深いラフェリエールであるが、それ以前に書かれた本作品が作家の帰属が常に外部からの規定を受けることに対するアンチテーゼの側面を持ち、またステレオタイプのみである文化について書くことに関する一種の実験小説でありながら、同時に文体探求のためのleçon d’écritureの旅の記録でもあることを示した。

nishikawa

引き続き オンライン懇親会 Apéro en ligne

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