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2023
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AJEQ研究会報告 Rapport de la réunion d’études de l’AJEQ (2023年3月)
CATEGORY報告
AJEQ研究会報告 Rapport de la réunion d’études de l’AJEQ (2023年3月)
AJEQ企画委員会・研究会担当 Comité scientifique
2023年3月25日(土)16:00~18:00、立教大学にてAJEQの定例研究会が開催されました。
以下、報告者たちによる報告要旨です。(矢頭典枝・神田外語大学)
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(1) 関未玲 SEKI Mirei 会員
「『満ち足りた人生』から『ヴィという少女』へ―キム・チュイ作品にみられるエクリチュールの変化」
(De Mãn à Vi ― l’évolution de l’écriture dans les œuvres de Kim Thúy)
要旨:
2009年に『小川』(Ru)で鮮烈な作家デビューを果たしたキム・チュイは、その後2013年に『満ち足りた人生』(Mãn)を、2016年に『ヴィという少女』(Vi)を上梓する。断章から成るチュイ作品のなかで、とりわけ『満ち足りた人生』から『ヴィという少女』にかけて変化を遂げたエクリチュールは、チュイ作品の特徴をより深化させる契機となっている。『小川』、『満ち足りた人生』、『ヴィという少女』ではいずれも、ベトナムからケベックへと渡った女性主人公の半生が描かれているが、『満ち足りた人生』から『ヴィという少女』にかけては、フランスという第三の国が組み込まれることで、人物の関係性が相対化し、作品世界に広がりがもたらされている。その広がりが、流れるような文体をより豊かにしていることを、本発表で明らかにした。
関会員と質問する小倉会員
(2) 瀬藤澄彦 SETO Sumihiko 会員
「グローバル都市革命―コンパクトシティ 田園都市 第3の都市」
(Global Urban Revolution―Compact city, Garden city, the third City)
要旨:
世界的戦略拠点都市における都心部の企業集積は、富裕化、準郊外の田園都市化、社会階層化、の3つの現象を浮き彫りにした。パリ首都圏ほかカナダを含む世界15都市の事例検証を行った。現代世界都市のこのような変貌は実は欧州と北米では違った様相を呈している。OECDなどを嚆矢に都市圏のスプロール化に対抗するコンパクトシティ政策が世界的に鼓舞された。中世の城塞都市が原型の欧州大陸の都市は日本の城下町と同様に、北米の高層都心や低層住宅郊外モデル都市とでは様相を異にしていた。新型コロナウイルスの発生は現代都市の再構築を本質から迫ってきた。コンパクトでもスマートでもない都市、しかし田園都市でもない第3の都市モデルが浮上してきた。著者の約30年近い海外生活体験に根差した類書を見ない現代都市論をと自負している。
瀬藤会員と報告に聞き入る参加者たち
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