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2017

2017年度 韓国ケベック学会年次コロック(於ソウル)参加報告

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2017年度 韓国ケベック学会年次コロック(於ソウル)参加報告
陶山宣明(帝京平成大学)

 11月18日(土)に、瀟洒なビルが立ち並ぶ地区にある在韓国カナダ大使館で第19回ACEQ定例研究会が開かれ、AJEQを代表して、“La politique du Québec en matière d'immigration”と題するペーパーを報告する機会を得ました。ソウルは初めてではなく、滞在も短期でしたが、様々な思いがけない事が起こって刺激に富んだ経験でした。
 木曜遅くJALで金浦空港に着く時間から推定して、成均館(ソンギュングァン)大学にはおよそ23時半頃に着くだろうと朴(パク)先生に連絡してありましたが、正門の横にある守衛室で尋ねても何も知らないとのこと。唯一の連絡手段は朴先生のメールアドレスでしたので、韓国人の学生にスマホからメールを送ってもらいました。ですが、もう零時半になろうとしていて、朝まで連絡がつかない恐れもありました。近くのマクドナルドで夜を過ごそうと思い、2時頃にカフェを注文しようとしていたら外から朴先生が入って来られ、「陶山先生ですか?」と声をかけて頂きました。その時間まで辛抱強く車の中で待って下さりご苦労様でした。すぐに宿舎にチェックイン、泥のように眠りました。
 翌日、朴先生に大学のカフェテリアで昼食をごちそうになり、午後はゆったりとした気分で界隈を探索しました。大学街なので学生でいっぱいでしたが、ソウルの物価はもう東京とほとんど変わらなくなっていることに気付きました。夕方に宿舎に戻ってみると、そこは留学生のための女子寮であることが分かり、いろんな国からの学生と話すことができました。報告するためのパワポは日本を出る前に準備していましたが、にわか仕込みのハングルで自分の名前を付け足しました。日本語固有名詞を置き換えるのにはハングルはひらがなのように使えますが、実際もっと複雑でとても数日で全てを暗記できる代物ではないと痛感しました。
 学会当日には、カナダ大使館の最寄りの市庁駅で朴先生と落ち合い、カナダ大使館近くの店で会長の韓(ハン)先生、他には、過去にAJEQで来日された二人の女性の李(イ)先生がデジュネに同席されました。研究会は自分のセッション以外は全て韓国語で進行し、自分にはちんぷんかんぷんでしたが、頑張ってずっと着席していました。
 ケベック州政府が1960年代から急に移民政策に活発になった背景には、静かな革命の世俗化、都市化がフランス系カナダ人の出生率の著しい低下を引き起こしたことがあります。州の人口比が減ると国内でのフランス系の比重が弱まり、かつ、カナダ憲法の改正の条件「7州以上、人口50%以上」ではケベックとオンタリオの組み合わせだけに拒否権が与えられていたですが、人口増加が著しいアルバータやブリティッシュコロンビアも関わってくるようになります。そこで、1867年憲法第95条を根拠にして、ケベックは独自の移民政策を展開するようになっています。現体制は、1991年にケベック州と連邦政府の間で結ばれた協定に基づいていて、ケベック州を目的地とする経済移民に関しては連邦政府のポイント制度とは無関係に移民を選べるようになっています。ケベック州に定着したいと考えている移民がカナダ大使館に行けば、「ここでは申請できません、香港にあるケベック代表部に連絡して下さい」と言われます。ケベックには人口比24%以上の割合の移民を受け入れたい希望がありますが、他方で移民の主眼は経済であるため、ケベック州の仏語社会に移民を統合させようとする政策はどうしてもトロントやバンクーバーの方に移民を流してしまいます。
 学会の後で、近くの韓国料理店で懇親会がありました。韓国の麦酒、焼酎を嗜みましたが、後者は寒い中、体を温めるのに大いに役立ちました。月曜朝早くに金浦空港から大韓航空で帰国の途につきましたが、スキーとハングル学習のため、近いうちにまた韓国に行く計画があります。この度のソウルへの学会出張では多くの貴重な体験をさせて頂き、できることなら毎年でも行ってみたいなと思うようになりました。来年行くなら、今年よりもずっと韓国語が(仏語も?)できるようになっていたい。千里の道も一歩から、まずはハングル検定5級から受けてみようと考えています。

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Tag:ケベックAJEQACEQ

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