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2018年7月14日 AJEQ研究会報告 Rapport de la réunion d’études de l’AJEQ
CATEGORY報告
2018年7月14日 AJEQ研究会報告 Rapport de la réunion d’études de l’AJEQ
2018年7月14日(土)、早稲田大学にてAJEQの定例研究会が開催されました。
第1発表は、今年度のAJEQ大会におけるG・ブシャール教授の基調講演の勉強会と位置付けられ、同教授の著書の翻訳書『間文化主義』の監訳を担当された丹羽卓会員による報告でした。
第2発表では、2017年度小畑ケベック研究奨励賞受賞者の1人である松川雄哉会員が、ケベックでの現地調査の結果を踏まえ、フランス語教育について報告しました。
どちらも大変興味深い内容で、報告の後の質疑応答では時間が足りないほどでした。詳細は以下、ご本人たちからの報告をごらんください。(矢頭典枝・神田外語大学)
日時:2018年7月14日月(土)16:00-18:30
会場:早稲田大学 早稲田キャンパス8号館406教室
〈プログラム〉
第1発表:丹羽卓会員(金城学院大学)Takashi NIWA (Université Kinjo Gakuin)
「imaginaires collectifs とは何かー G. Bouchard の Raison et déraison du mythe. Au coeur des imaginaires collectifs を読む」
(À propos de la conception de "imaginaire collectif" de Gérard Bouchard)
第2発表:松川雄哉会員(南山大学)Yuya MATSUKAWA (Université Nanzan)
第1発表についての報告
本年度のAJEQ大会で講演されるジェラール・ブシャール教授の講演内容の中心概念である「集合的想像域」(imaginaire collectif)という概念について、氏の近著であるGérard Bouchard, Raison et déraison du mythe. Au cœur des imaginaires collectifs, Boréal, 2014の序章と第1章に基づいて説明を試みた。その内容は次の通りである。
どのような集合体も特に重要視される表象を持っており、そうした表象の集合体をブシャールは「集合的想像域」と呼ぶ。例えば、「自由」「市民の平等」「繁栄への権利」「人種の平等」「男女平等」などがそうした表象にあたるが、集合体によってどれを集合的想像域の中心に据えるかが変わる。そればかりか、中心に置かれた表象は神聖化され、それを批判することはタブーとみなされるほどである。
ブシャールは、集合的想像域は理性とも関係があるとしたうえで、感情面を重視する。また、それは矛盾さえはらむが、空想ではなく、現実と深くかかわると主張する。そして、その集合的想像域を支えるのが神話であり、それは現代社会においても大きな力を持つと考え、神話を分析することで、その集合体(特に対象をネイションに絞る)の想像域を明らかにし、それがどのようにして集合体を構築するのかを解明しようとするのである。(丹羽 卓)
第2発表についての報告
AJEQ企画委員会・研究会担当
2018年7月14日(土)、早稲田大学にてAJEQの定例研究会が開催されました。
第1発表は、今年度のAJEQ大会におけるG・ブシャール教授の基調講演の勉強会と位置付けられ、同教授の著書の翻訳書『間文化主義』の監訳を担当された丹羽卓会員による報告でした。
第2発表では、2017年度小畑ケベック研究奨励賞受賞者の1人である松川雄哉会員が、ケベックでの現地調査の結果を踏まえ、フランス語教育について報告しました。
どちらも大変興味深い内容で、報告の後の質疑応答では時間が足りないほどでした。詳細は以下、ご本人たちからの報告をごらんください。(矢頭典枝・神田外語大学)
日時:2018年7月14日月(土)16:00-18:30
会場:早稲田大学 早稲田キャンパス8号館406教室
〈プログラム〉
第1発表:丹羽卓会員(金城学院大学)Takashi NIWA (Université Kinjo Gakuin)
「imaginaires collectifs とは何かー G. Bouchard の Raison et déraison du mythe. Au coeur des imaginaires collectifs を読む」
(À propos de la conception de "imaginaire collectif" de Gérard Bouchard)
第2発表:松川雄哉会員(南山大学)Yuya MATSUKAWA (Université Nanzan)
「ケベックにおけるフランス語教育について」
本年度のAJEQ大会で講演されるジェラール・ブシャール教授の講演内容の中心概念である「集合的想像域」(imaginaire collectif)という概念について、氏の近著であるGérard Bouchard, Raison et déraison du mythe. Au cœur des imaginaires collectifs, Boréal, 2014の序章と第1章に基づいて説明を試みた。その内容は次の通りである。
どのような集合体も特に重要視される表象を持っており、そうした表象の集合体をブシャールは「集合的想像域」と呼ぶ。例えば、「自由」「市民の平等」「繁栄への権利」「人種の平等」「男女平等」などがそうした表象にあたるが、集合体によってどれを集合的想像域の中心に据えるかが変わる。そればかりか、中心に置かれた表象は神聖化され、それを批判することはタブーとみなされるほどである。
ブシャールは、集合的想像域は理性とも関係があるとしたうえで、感情面を重視する。また、それは矛盾さえはらむが、空想ではなく、現実と深くかかわると主張する。そして、その集合的想像域を支えるのが神話であり、それは現代社会においても大きな力を持つと考え、神話を分析することで、その集合体(特に対象をネイションに絞る)の想像域を明らかにし、それがどのようにして集合体を構築するのかを解明しようとするのである。(丹羽 卓)
第2発表についての報告
本発表では、今年3月に行ったケベック州研究滞在について報告しながら、私の研究テーマであるケベックにおけるフランス語教育に関する研究報告をした。ケベックには大きく分けて2種類のフランス語教育がある。大人の移民ためのフランス語教育は、Francisationと呼ばれており、移民の子供に対する教育には、Programme d’accueil et du soutien à l’apprentissage du français (PASAF)と呼ばれている。移民のためのフランス語教育としては、Laval大学のケベック・フランス語会話のアトリエ や、ケベックで出版されたフランス語の教科書 « Par ici (les éditions MD)»を紹介した。いずれも、ケベックで実際に話されているフランス語やケベック社会でうまく振る舞うためのノウハウを学ぶことができる。最後に移民の子供の社会統合を促進するためのサマーキャンプの事例を紹介した。このような取り組みは、移民の子供が友達を作るだけでなく、彼らの間でインフォーマルなやり取りの中でインフォーマルなフランス語を学ぶ機会を与えてくれる。ケベックでは、フランス語教員に限らず全ての教員が、移民の生徒の統合を助ける役割を担っている。そのための能力を養成するには、教職課程だけでは必ずしも十分ではなく、その後の教員養成もの重要であることを強調した。(松川雄哉)
丹羽卓会員 松川雄哉会員
第一発表の質疑応答の様子 第2発表の質疑応答の様子
(写真提供:矢頭典枝・小倉和子)
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